私達は「クイズ」を趣味としていますが、他の文化系趣味、たとえば「ボードゲーム」はどのようにして運営されているんだろう?
特に、初心者もベテランも入り混じる中、どのようにしているんだろう?

#今日のTBQ」というハッシュタグで、一日1問ボードゲームについての出題中に「バンちゃん」さんに引き続き話を伺いました。
クイズの世界にとっても参考になる事例が多々あると思います。

――ボードゲームにおける、「初めての方にどう対応するか」「特に実力差がある相手に対しどうするか」の糸口ってどんな点なんでしょうか?

ボードゲームの良いところとして上がる点のひとつに、「大人も子どもも、初めて触れる方もベテランの方も、皆が真剣に取り組みつつも、分け隔てなく楽しむことができる」という点が挙げられます。これは先日50周年を迎えました『人生ゲーム』などを例に挙げても、雑誌AERAのインタビュー記事の中で、人生ゲームが長年愛される理由のひとつに「ルールさえ覚えておけば後は運次第」と、タカラトミーのプロデューサーの方が語っていることからも明らかです。

参考記事:AERAdot.「「人生ゲーム」発売から50年 スマホ全盛でも愛される理由」

もちろん、ボードゲームにも「世界大会」や、運の要素を排した作品も多々あります。しかし、それらの作品にも相手が人間である以上、その日の体調や心境による悪手、または初めての方の思わぬ妙手があるもので、それらも包括し「勝負は時の運」といった格言も生まれるものと思います。

ボードゲームは老若男女、誰もが同じ盤面で真剣に取り組むことのできる遊戯です。全員が楽しさを維持しつつ、初めての方も熟練の方も一緒になって楽しむためには、そうした作品を提示し、楽しみを共有することが第一と感じます。クイズの世界に「解答者が正解できなくても勝てるクイズ番組」と称して『バッテンクイズ! ヘキサゴン』が生み出されたように、アナログゲームの世界にも「必ずどこかで新規参入者とベテランの方が分け隔てなく楽しめる作品」が存在し、それらをもとに皆が楽しんでいる……といった状況なのかなと思います。

ゲームそのものや世界観といった大きなくくりではなく、むしろ「ハウスルール」と呼ばれる、仲間内だけで通用する特別ルールを採用することで、それらが柔軟に対応できる点もアナログゲームの良いところです。幸い、世界中で年間1000種類ものアナログゲームが制作され、これまでの総計ともなると遊び尽くせないほど数多くの作品があふれています(先ほどの記事参照)。国内でも春と秋の2回、『ゲームマーケット』と呼ばれる大型イベントで多くの作家による本格的なボードゲームが1000〜2000タイトル以上も生み出される世界です。アナログゲームは人生ゲームとウノくらいの認識でしかない方には少々信じがたい数値かもしれません。

『ゲームマーケット』でばんちゃんさんが購入されたゲームの数々。

――初心者の方と接するときに気を付けていることはありますか?

個人的に気を付けているのは、「初めての方の前では専門用語をなるべく控える」ことです。

自戒の念も込めているのですが、先日、久方ぶりにお邪魔したとあるクイズ会で「フリバ」、「フリーバッティング」という用語に、当初頭の中の疑問符がぬぐいきれませんでした。他にも、「(問題を)潰す」「青問」「赤問」などの「冷静に推測すればわかる」用語のひとつひとつを取り上げても、初めて耳にされる方にとっては、そこで障壁を作ってしまうのだと再認識させられました。

これら界隈だけで通じる言葉をつい多用するクセがついてしまうと、何かしら「コードネームを使用する錯覚」に陥るのか、気心の知れた界隈の結束は深まるかも知れませんが、一方では排他的となり、また、それらを使用した別の表現をしづらくなってしまうなどの弊害も生まれます。

「仲間内で盛り上がるだけ」と割り切る覚悟があるならば大丈夫かもしれませんが、私の場合は特に、初めての方の前でなるべくそれらの言葉を控えるようにしています。説明するのではなく「控える」のです。説明すると、さらに敷居が高くなってしまうためです。

ボードゲームの世界に置き換えると、「インスト」(=ゲームの内容を説明すること)、「スタピー」((ゲームで最初に手番を行う人。「スタートプレイヤー」の略)、「COする」(=『人狼』で自分の役割を公開すること。「カミングアウト」の略)、「プレイアビリティが高い」(=遊びやすい)……などの用語です。これらの言葉を巧みに使う相手を「かっこいい」と思うか、「そっち(界隈)だけでやって」と思うか。新規参入者を受け入れる土壌は、そのあたりにあると考えます。

初めての方を対象とするボードゲームの制作者はそのあたりの表現に日夜奮闘され、今や多くの取扱説明書が、それら専門用語を極力排して別の用語へと置き換えられ、初めての方にも読みやすいものとなっていると思います。ぜひ、お手にとってご確認してみてください。

――ありがとうございました!

【文責:神野芳治】

https://quiz-schedule.info/quizdo/wp-content/uploads/2018/11/574e33e2753e907cbba0df130cd28375-1024x768.jpghttps://quiz-schedule.info/quizdo/wp-content/uploads/2018/11/574e33e2753e907cbba0df130cd28375-150x150.jpgquizdo問題掲載サイト問題私達は「クイズ」を趣味としていますが、他の文化系趣味、たとえば「ボードゲーム」はどのようにして運営されているんだろう? 特に、初心者もベテランも入り混じる中、どのようにしているんだろう? 「#今日のTBQ」というハッシュタグで、一日1問ボードゲームについての出題中に「バンちゃん」さんに引き続き話を伺いました。 クイズの世界にとっても参考になる事例が多々あると思います。 ――ボードゲームにおける、「初めての方にどう対応するか」「特に実力差がある相手に対しどうするか」の糸口ってどんな点なんでしょうか? ボードゲームの良いところとして上がる点のひとつに、「大人も子どもも、初めて触れる方もベテランの方も、皆が真剣に取り組みつつも、分け隔てなく楽しむことができる」という点が挙げられます。これは先日50周年を迎えました『人生ゲーム』などを例に挙げても、雑誌AERAのインタビュー記事の中で、人生ゲームが長年愛される理由のひとつに「ルールさえ覚えておけば後は運次第」と、タカラトミーのプロデューサーの方が語っていることからも明らかです。 参考記事:AERAdot.「「人生ゲーム」発売から50年 スマホ全盛でも愛される理由」 もちろん、ボードゲームにも「世界大会」や、運の要素を排した作品も多々あります。しかし、それらの作品にも相手が人間である以上、その日の体調や心境による悪手、または初めての方の思わぬ妙手があるもので、それらも包括し「勝負は時の運」といった格言も生まれるものと思います。 ボードゲームは老若男女、誰もが同じ盤面で真剣に取り組むことのできる遊戯です。全員が楽しさを維持しつつ、初めての方も熟練の方も一緒になって楽しむためには、そうした作品を提示し、楽しみを共有することが第一と感じます。クイズの世界に「解答者が正解できなくても勝てるクイズ番組」と称して『バッテンクイズ! ヘキサゴン』が生み出されたように、アナログゲームの世界にも「必ずどこかで新規参入者とベテランの方が分け隔てなく楽しめる作品」が存在し、それらをもとに皆が楽しんでいる……といった状況なのかなと思います。 ゲームそのものや世界観といった大きなくくりではなく、むしろ「ハウスルール」と呼ばれる、仲間内だけで通用する特別ルールを採用することで、それらが柔軟に対応できる点もアナログゲームの良いところです。幸い、世界中で年間1000種類ものアナログゲームが制作され、これまでの総計ともなると遊び尽くせないほど数多くの作品があふれています(先ほどの記事参照)。国内でも春と秋の2回、『ゲームマーケット』と呼ばれる大型イベントで多くの作家による本格的なボードゲームが1000〜2000タイトル以上も生み出される世界です。アナログゲームは人生ゲームとウノくらいの認識でしかない方には少々信じがたい数値かもしれません。 ――初心者の方と接するときに気を付けていることはありますか? 個人的に気を付けているのは、「初めての方の前では専門用語をなるべく控える」ことです。 自戒の念も込めているのですが、先日、久方ぶりにお邪魔したとあるクイズ会で「フリバ」、「フリーバッティング」という用語に、当初頭の中の疑問符がぬぐいきれませんでした。他にも、「(問題を)潰す」「青問」「赤問」などの「冷静に推測すればわかる」用語のひとつひとつを取り上げても、初めて耳にされる方にとっては、そこで障壁を作ってしまうのだと再認識させられました。 これら界隈だけで通じる言葉をつい多用するクセがついてしまうと、何かしら「コードネームを使用する錯覚」に陥るのか、気心の知れた界隈の結束は深まるかも知れませんが、一方では排他的となり、また、それらを使用した別の表現をしづらくなってしまうなどの弊害も生まれます。 「仲間内で盛り上がるだけ」と割り切る覚悟があるならば大丈夫かもしれませんが、私の場合は特に、初めての方の前でなるべくそれらの言葉を控えるようにしています。説明するのではなく「控える」のです。説明すると、さらに敷居が高くなってしまうためです。 ボードゲームの世界に置き換えると、「インスト」(=ゲームの内容を説明すること)、「スタピー」((ゲームで最初に手番を行う人。「スタートプレイヤー」の略)、「COする」(=『人狼』で自分の役割を公開すること。「カミングアウト」の略)、「プレイアビリティが高い」(=遊びやすい)……などの用語です。これらの言葉を巧みに使う相手を「かっこいい」と思うか、「そっち(界隈)だけでやって」と思うか。新規参入者を受け入れる土壌は、そのあたりにあると考えます。 初めての方を対象とするボードゲームの制作者はそのあたりの表現に日夜奮闘され、今や多くの取扱説明書が、それら専門用語を極力排して別の用語へと置き換えられ、初めての方にも読みやすいものとなっていると思います。ぜひ、お手にとってご確認してみてください。 ――ありがとうございました! 【文責:神野芳治】クイズに興味を持った方・初心者の方からベテランまで! ”やる”クイズ支援サイト