「他の趣味(ボードゲーム)を行う中で、クイズを『コミュニケーション手段として』使う」という事例の第3回です。
#今日のTBQ」というハッシュタグで、一日1問ボードゲームについての出題中に「バンちゃん」さんに引き続き話を伺いました。

今回と次回は、「クイズの世界にいる」私たちにはなかなか聞けない話だと思います。必見!

――クイズと同じインドア系趣味であるボードゲームについて教えてください。クイズも、「新しく入っていただくにはどうするか」については長年の課題となっています。ボードゲーム界では、どのような試みをされているのでしょうか?

これはクイズに限らず、マーケティング戦略の話に直結するかと思いますが、人がある事象に無関心な状態からこちらに興味を引いてもらうためには、相手に「自分のことだ」と認識させる必要があると考えています。

決して難しいことではなく、「ボードゲームは楽しい」「世界を知ることでもっと楽しい世界が待っている」と伝えると、相手はだんだん興味が湧いてきます。
そこから次の段階として、情報を知ろうとし、どんな媒体でボードゲームをプレイできるか、あるいは購入できるか……といった検討段階へと移ります。
それらのプロセスを踏まえ、昨今のメディアの進出や、国内外の多くの有名ボードゲームの露出など、新規参入の方々が入りやすい土壌が次第に形成されたものと考えています。

(参考URL 4Gamer.dot「[CEDEC 2016]日本のアナログゲーム市場の今と,その特徴。「アナログゲームが熱いって本当?」講演レポート」)

ボードゲームに限って話すと、先のリンク先にありますように、近年の特出した活動ではなく、長年に渡って草の根的に活動を行ってきた先輩方の思いなどが、時代のニーズとともに次第に取りざたされ、現在に至る、といった流れです。排他的にならず、楽しいことを全面に推し、何が楽しくて、それが初めての方の何を刺激するのか……といった具体的ニーズにそぐうならば、それらはいつか理解を得るものと考えております。

即売会でのブースの模様。

――また、「既存の愛好者と新しく入っていただいた方が一緒にやる機会が多く、実力や知識が違う人をどう一緒に楽しんでいただくか」も長年の課題です。この点についても、ボードゲーム界での試みを教えて頂ければ幸いです。

老若男女、ことボードゲーム関連のツイートを拝見すると、まれに「勝ったから良いゲーム」という言葉を見かけます。ことさら、未就学児などを相手とするボードゲーム会などで顕著に起こるのですが、お子さんは「自分が負けた」「勝てない」と悟るや否や、急にゲームの興味を失い、別のものに興味が向こうとします。

これは別にお子さんに限った話ではなく、初めての方にもそういった「勝利の体験」があるからこそ、「次にまた頑張りたい」といったモチベーションの維持につながるものと考えております。せっかく興味を持った方を無為に千尋の谷へと突き落とすといった行為は、初めての方の道を閉ざすどころか、私自身がそれをあまり気持ちの良い行為として見てはいません。

その一方で、(あくまで私のポリシーですが)初めての方ならば、たとえ相手が歴戦の猛者だったとしても、か弱いお子さんだったとしても、ボードゲームの場では手加減することなく真剣に相手をしてあげることが重要と考えております。見え透いた手加減は相手にも伝わってしまうものです。しかし、あまりに実力差が明快となるボードゲームの場合、その差が歴然となることで、相手のモチベーションが下がることも懸念されます。

――クイズでも、「初めての方にどう対応するか」「特に実力差がある相手に対しどうするか」は非常に難しいです……。

以前、バックギャモン協会理事の方が主催するバックギャモンの講習会にお邪魔したときのことです。講師を務める先生は、こちらの悪手に対し、時に寛大に受け入れ、時にアドバイスしながら、懇切丁寧な指導を行いました。その結果、先生が負けたとしても、笑顔でそれを受け入れてらっしゃいました。

「勝負に勝ちたい」という思いは初心者や熟練者に限らず、誰しもが抱える欲求ではあります。負けて悔しい思いなど誰しも経験などしたくはないものです。しかし、一度や二度の敗北の味を知るからこそ、次に向けての作戦構想や、「次に頑張ろう」といった気持ちの切り替えも、うまくできるようになるでしょう。もちろんこれらはボードゲームに限った話ではありませんが。

「負けを認める」ためには、どうしても自分の実力を知る必要があり、また同時に相手を敬う視点も必要となります。これらは知識とは別の「精神の修養」です。自己の技量を最大限に発揮しつつ、時の運に支配されたならば、誰しも素直にそれを認める。おっしゃる通り、大変難しい課題ですが、糸口がないわけではありません。

その糸口とは何か?次回も引き続きばんちゃんさんに話を伺います!

【文責:神野芳治】

https://quiz-schedule.info/quizdo/wp-content/uploads/2018/11/f12c146c0bbbe9df5f7b4d1d6be97a82-1024x768.jpghttps://quiz-schedule.info/quizdo/wp-content/uploads/2018/11/f12c146c0bbbe9df5f7b4d1d6be97a82-150x150.jpgquizdo未分類「他の趣味(ボードゲーム)を行う中で、クイズを『コミュニケーション手段として』使う」という事例の第3回です。 「#今日のTBQ」というハッシュタグで、一日1問ボードゲームについての出題中に「バンちゃん」さんに引き続き話を伺いました。 今回と次回は、「クイズの世界にいる」私たちにはなかなか聞けない話だと思います。必見! ――クイズと同じインドア系趣味であるボードゲームについて教えてください。クイズも、「新しく入っていただくにはどうするか」については長年の課題となっています。ボードゲーム界では、どのような試みをされているのでしょうか? これはクイズに限らず、マーケティング戦略の話に直結するかと思いますが、人がある事象に無関心な状態からこちらに興味を引いてもらうためには、相手に「自分のことだ」と認識させる必要があると考えています。 決して難しいことではなく、「ボードゲームは楽しい」「世界を知ることでもっと楽しい世界が待っている」と伝えると、相手はだんだん興味が湧いてきます。 そこから次の段階として、情報を知ろうとし、どんな媒体でボードゲームをプレイできるか、あるいは購入できるか……といった検討段階へと移ります。 それらのプロセスを踏まえ、昨今のメディアの進出や、国内外の多くの有名ボードゲームの露出など、新規参入の方々が入りやすい土壌が次第に形成されたものと考えています。 (参考URL 4Gamer.dot「[CEDEC 2016]日本のアナログゲーム市場の今と,その特徴。「アナログゲームが熱いって本当?」講演レポート」) ボードゲームに限って話すと、先のリンク先にありますように、近年の特出した活動ではなく、長年に渡って草の根的に活動を行ってきた先輩方の思いなどが、時代のニーズとともに次第に取りざたされ、現在に至る、といった流れです。排他的にならず、楽しいことを全面に推し、何が楽しくて、それが初めての方の何を刺激するのか……といった具体的ニーズにそぐうならば、それらはいつか理解を得るものと考えております。 ――また、「既存の愛好者と新しく入っていただいた方が一緒にやる機会が多く、実力や知識が違う人をどう一緒に楽しんでいただくか」も長年の課題です。この点についても、ボードゲーム界での試みを教えて頂ければ幸いです。 老若男女、ことボードゲーム関連のツイートを拝見すると、まれに「勝ったから良いゲーム」という言葉を見かけます。ことさら、未就学児などを相手とするボードゲーム会などで顕著に起こるのですが、お子さんは「自分が負けた」「勝てない」と悟るや否や、急にゲームの興味を失い、別のものに興味が向こうとします。 これは別にお子さんに限った話ではなく、初めての方にもそういった「勝利の体験」があるからこそ、「次にまた頑張りたい」といったモチベーションの維持につながるものと考えております。せっかく興味を持った方を無為に千尋の谷へと突き落とすといった行為は、初めての方の道を閉ざすどころか、私自身がそれをあまり気持ちの良い行為として見てはいません。 その一方で、(あくまで私のポリシーですが)初めての方ならば、たとえ相手が歴戦の猛者だったとしても、か弱いお子さんだったとしても、ボードゲームの場では手加減することなく真剣に相手をしてあげることが重要と考えております。見え透いた手加減は相手にも伝わってしまうものです。しかし、あまりに実力差が明快となるボードゲームの場合、その差が歴然となることで、相手のモチベーションが下がることも懸念されます。 ――クイズでも、「初めての方にどう対応するか」「特に実力差がある相手に対しどうするか」は非常に難しいです……。 以前、バックギャモン協会理事の方が主催するバックギャモンの講習会にお邪魔したときのことです。講師を務める先生は、こちらの悪手に対し、時に寛大に受け入れ、時にアドバイスしながら、懇切丁寧な指導を行いました。その結果、先生が負けたとしても、笑顔でそれを受け入れてらっしゃいました。 「勝負に勝ちたい」という思いは初心者や熟練者に限らず、誰しもが抱える欲求ではあります。負けて悔しい思いなど誰しも経験などしたくはないものです。しかし、一度や二度の敗北の味を知るからこそ、次に向けての作戦構想や、「次に頑張ろう」といった気持ちの切り替えも、うまくできるようになるでしょう。もちろんこれらはボードゲームに限った話ではありませんが。 「負けを認める」ためには、どうしても自分の実力を知る必要があり、また同時に相手を敬う視点も必要となります。これらは知識とは別の「精神の修養」です。自己の技量を最大限に発揮しつつ、時の運に支配されたならば、誰しも素直にそれを認める。おっしゃる通り、大変難しい課題ですが、糸口がないわけではありません。 その糸口とは何か?次回も引き続きばんちゃんさんに話を伺います! 【文責:神野芳治】クイズに興味を持った方・初心者の方からベテランまで! ”やる”クイズ支援サイト