これまでQuiz Doでは「クイズを第一の趣味として行う方々」を取り上げてきました。
が、今回は少し毛色が異なり、「他の趣味(ボードゲーム)を行う中で、クイズを『コミュニケーション手段として』使う」という事例を、数回に分けてご紹介します。「#今日のTBQ」というハッシュタグで、一日1問ボードゲームについての出題中に「バンちゃん」さんに話を伺いました(ご本人も書かれている通り、クイズにも足を踏み入れている方ではありますが)。
中には、「ボードゲームの魅力をどう伝えるか」という話にもなり、クイズにとっても一つに参考になるかと思います。

――今回、取材に応じて頂ける方のお名前を教えてください。

バンちゃんと申します。クイズ制作時も含めたペンネームで「番次郎」という名前を使用しております。

――まず、取材に応じていただける方ご自身についてお伺いします。もともとクイズに興味を持ったきっかけってどんなところだったんですか?

土壌となりましたのは、やはり『アメリカ横断ウルトラクイズ』の影響が大きかったです。印象深かったシーンは、第13回の準決勝・ボルティモアの「通せんぼクイズ」でした。あまりに大好きの気持ちが行き過ぎ、問題文と答えを全て暗記するほどでした。小学生ながら『平家物語』の冒頭を暗唱できた学生は1000人余りの学校の中で、私だけだったと記憶しています。

実際にクイズの世界のあくまで「さわりの部分」に足を踏み入れたのは、それからかなり後の大学生から社会人になってからの話です。『高校生クイズ』も教頭先生から出場禁止が言い渡され、やむなく出場できず。それまで、クイズそのものは趣味の範囲内でしたが、以降はノートに「ベタ問」と呼ばれる問題やメディアで出題された問題を、ひとりでまとめてガリガリと勉強していました。

――また、メインの趣味である「ボードゲーム」に興味をもったきっかけはどんなところだったのでしょうか?

当初は興味本位で始めた「ワードバスケット」というカードゲームです。カードにひらがなが記載されていて、それをしりとりの要領で切っていき、早く手札をなくした人が勝利するという、語彙力が勝負を握るカードゲームです。仲間内で延々とプレイしました。
ウノとトランプしか知らなかった自分にとって、カードに数値と記号以外の文字が並んでいたこと自体が新鮮で、「もっと他には?」…と、遊びたい欲求と収集欲の2つを同時に刺激され、気がつけば1年間でボードゲームを200ほど購入していました。現在は2年と3カ月です。実は私、そうボードゲーム歴が深くはないのです。

この秋に発売されたボードゲーム問題集の表紙。

――「#今日のTBQ」にて1日1問ボドゲクイズを出題されています。もともと出題するようになったきっかけはどんなところだったのでしょうか?

多くの方に知ってもらうためには、さまざま々な媒体を通じたコンテンツを提供する必要があります。せっかくSNSを活用しているのであれば、そこに情報を組み込めたら面白いのではないか…と考えました。

当初はbotと呼ばれる、自動で問題をツイートするアカウントを作成しました。200問ほど作成し、徐々に問題を追加した結果、最終的に3カ月あまりで総計800問ほどのストックが溜まり、それらを1時間おきにツイートしました。多くの方が運営する中でポッと出の私が、初めて全世界に向けて運用できたものだったと記憶しています。

しかし、達成感と同時に、自分の真にやりたかったことは本当にこれだったのか? といった違和感も芽生えました。ツイートを追っていくと、無機質に自分が作成した問題文が流れる「だけ」のアカウントに、何かしら「人間そのものの温かみ」が欠けていることに気がつきました。
当時はそれでも満足感が勝り、多少の違和感には目をつむるだけの余裕があったのですが、数日も立たないうちに、自分の中のポリシーが「クイズは出題者、解答者相互で成し得るコミュニケーションのひとつの形」へと変化していることに気がつき、数日後、botの運用を即座に停止しました。

しばらく期間を経て、無事に初めての小冊子を頒布することができ、次の宣伝方法を考えなければ……と思案した結果、1日1問ボードゲームに関するクイズを作成するというノルマを己に課すことで、自己の錬成も兼ねたPRができるのではないかと結論づけました。
後になって、それが実に大変な労力であると気が付くのですが、それでも何人かの方の目に止まっていただけると大変うれしいし、それだけをバイタリティとして、現在も作り置きすることなくその日の朝に作成し、更新しています。

秋の新刊の中身。クイズを通して「知的好奇心」をくすぐる、というのはいろんな業界で使えそうです。

――フォロワーの方からの反応で、印象的なものがありましたらご教示ください。

ツイッターを含むSNSの媒体は、どうしても届けたい相手の気持ちにそぐうのか否かが不安な面が多く、反応の有無に関しては四六時中、気にかけてしまう性分です。しかしながら、直接お会いした方から「クイズ楽しみにしてます」という声が上がることの方が、実はツイートでPTや「いいね」の反応する数よりも、体感としては相対的に多く、「ツイート上でのリアクションを稼ぐだけがモチベーションの維持ではない」ことを痛感させられます。

また、こうしたひとつのジャンルに特化したカルトクイズを出題すると、必ずどこかで「じゃあこれ知ってる?」「俺の問題は……」といった、クイズならではの「きっかけ」が生まれます。趣味が合う者同士だからこそ生まれる独特の「知的好奇心」を、“クイズ”という触媒を通じてくすぐることができ、ひいては互いの円滑なコミュニケーションのきっかけとなったならば、私の作成したクイズの役目としては大成功を収めることができたと言えるのではないでしょうか。

次回は、問題作成時に心掛けていることや、即売会での反応、そして即売会での早押し体験についてお伺いします!

【文責:神野芳治】

https://quiz-schedule.info/quizdo/wp-content/uploads/2018/10/ba697d8540698febebb0e08b9c9f8750-1024x709.pnghttps://quiz-schedule.info/quizdo/wp-content/uploads/2018/10/ba697d8540698febebb0e08b9c9f8750-150x150.pngquizdo“やる”クイズリポートその他リポート問題問題掲載サイトこれまでQuiz Doでは「クイズを第一の趣味として行う方々」を取り上げてきました。 が、今回は少し毛色が異なり、「他の趣味(ボードゲーム)を行う中で、クイズを『コミュニケーション手段として』使う」という事例を、数回に分けてご紹介します。「#今日のTBQ」というハッシュタグで、一日1問ボードゲームについての出題中に「バンちゃん」さんに話を伺いました(ご本人も書かれている通り、クイズにも足を踏み入れている方ではありますが)。 中には、「ボードゲームの魅力をどう伝えるか」という話にもなり、クイズにとっても一つに参考になるかと思います。 ――今回、取材に応じて頂ける方のお名前を教えてください。 バンちゃんと申します。クイズ制作時も含めたペンネームで「番次郎」という名前を使用しております。 ――まず、取材に応じていただける方ご自身についてお伺いします。もともとクイズに興味を持ったきっかけってどんなところだったんですか? 土壌となりましたのは、やはり『アメリカ横断ウルトラクイズ』の影響が大きかったです。印象深かったシーンは、第13回の準決勝・ボルティモアの「通せんぼクイズ」でした。あまりに大好きの気持ちが行き過ぎ、問題文と答えを全て暗記するほどでした。小学生ながら『平家物語』の冒頭を暗唱できた学生は1000人余りの学校の中で、私だけだったと記憶しています。 実際にクイズの世界のあくまで「さわりの部分」に足を踏み入れたのは、それからかなり後の大学生から社会人になってからの話です。『高校生クイズ』も教頭先生から出場禁止が言い渡され、やむなく出場できず。それまで、クイズそのものは趣味の範囲内でしたが、以降はノートに「ベタ問」と呼ばれる問題やメディアで出題された問題を、ひとりでまとめてガリガリと勉強していました。 ――また、メインの趣味である「ボードゲーム」に興味をもったきっかけはどんなところだったのでしょうか? 当初は興味本位で始めた「ワードバスケット」というカードゲームです。カードにひらがなが記載されていて、それをしりとりの要領で切っていき、早く手札をなくした人が勝利するという、語彙力が勝負を握るカードゲームです。仲間内で延々とプレイしました。 ウノとトランプしか知らなかった自分にとって、カードに数値と記号以外の文字が並んでいたこと自体が新鮮で、「もっと他には?」…と、遊びたい欲求と収集欲の2つを同時に刺激され、気がつけば1年間でボードゲームを200ほど購入していました。現在は2年と3カ月です。実は私、そうボードゲーム歴が深くはないのです。 ――「#今日のTBQ」にて1日1問ボドゲクイズを出題されています。もともと出題するようになったきっかけはどんなところだったのでしょうか? 多くの方に知ってもらうためには、さまざま々な媒体を通じたコンテンツを提供する必要があります。せっかくSNSを活用しているのであれば、そこに情報を組み込めたら面白いのではないか…と考えました。 当初はbotと呼ばれる、自動で問題をツイートするアカウントを作成しました。200問ほど作成し、徐々に問題を追加した結果、最終的に3カ月あまりで総計800問ほどのストックが溜まり、それらを1時間おきにツイートしました。多くの方が運営する中でポッと出の私が、初めて全世界に向けて運用できたものだったと記憶しています。 しかし、達成感と同時に、自分の真にやりたかったことは本当にこれだったのか? といった違和感も芽生えました。ツイートを追っていくと、無機質に自分が作成した問題文が流れる「だけ」のアカウントに、何かしら「人間そのものの温かみ」が欠けていることに気がつきました。 当時はそれでも満足感が勝り、多少の違和感には目をつむるだけの余裕があったのですが、数日も立たないうちに、自分の中のポリシーが「クイズは出題者、解答者相互で成し得るコミュニケーションのひとつの形」へと変化していることに気がつき、数日後、botの運用を即座に停止しました。 しばらく期間を経て、無事に初めての小冊子を頒布することができ、次の宣伝方法を考えなければ……と思案した結果、1日1問ボードゲームに関するクイズを作成するというノルマを己に課すことで、自己の錬成も兼ねたPRができるのではないかと結論づけました。 後になって、それが実に大変な労力であると気が付くのですが、それでも何人かの方の目に止まっていただけると大変うれしいし、それだけをバイタリティとして、現在も作り置きすることなくその日の朝に作成し、更新しています。 ――フォロワーの方からの反応で、印象的なものがありましたらご教示ください。 ツイッターを含むSNSの媒体は、どうしても届けたい相手の気持ちにそぐうのか否かが不安な面が多く、反応の有無に関しては四六時中、気にかけてしまう性分です。しかしながら、直接お会いした方から「クイズ楽しみにしてます」という声が上がることの方が、実はツイートでPTや「いいね」の反応する数よりも、体感としては相対的に多く、「ツイート上でのリアクションを稼ぐだけがモチベーションの維持ではない」ことを痛感させられます。 また、こうしたひとつのジャンルに特化したカルトクイズを出題すると、必ずどこかで「じゃあこれ知ってる?」「俺の問題は……」といった、クイズならではの「きっかけ」が生まれます。趣味が合う者同士だからこそ生まれる独特の「知的好奇心」を、“クイズ”という触媒を通じてくすぐることができ、ひいては互いの円滑なコミュニケーションのきっかけとなったならば、私の作成したクイズの役目としては大成功を収めることができたと言えるのではないでしょうか。 次回は、問題作成時に心掛けていることや、即売会での反応、そして即売会での早押し体験についてお伺いします! 【文責:神野芳治】クイズに興味を持った方・初心者の方からベテランまで! ”やる”クイズ支援サイト