前回に引き続いて『クイズの杜(もり)・問題リンク&ダウンロードサイト』の市川尚志さんに話を伺いました。
今回は『クイズの杜』を始めるきっかけと、運営について。

――では、「クイズの杜」をやってみようと思ったきっかけってどんなところだったんですか?

早稲田大学に所属していた1990年代後半頃、当時「クイズスケジュール』を管理していた鈴木舟太さんらが、同じサイトで「クイズの問題書式統一計画」というのをやっていました。簡単にいえば、「問題を電子データにして、統一書式で管理していこう」というものでした。今思えばデータベースの管理設計など粗い点は多かったですが、当時としては革新的な取り組みであったと思いますし、有志でその書式で集められた問題は10万問とかになっていました。

市川は途中参加でそのプロジェクトに加わったのですが、その後、鈴木舟太さんがクイズを離れるときに、スケジュール管理はニシダアツシさんに、「問題統一計画」は市川に引き継ぐことになりました。そこまではみんなが持っている問題集を打ち込みあったりしていたのですが、多くの問題は非公開でした。その際、自分が思い出したのは高校時代の記憶……「あの時、もっと大量の問題に出会えていれば」……という思いです。これを踏まえて代表引継ぎ後、「集めた問題のうち、作者の許可を取れた問題はオープンに広く公開しましょう」という方針を提示し、プロジェクトに参加していた皆さんにOKしていただきました。

その後、私個人としてデータベースの問題をhtmlの表にする方法を勉強しました。統一計画でオープンにすることについてご本人の許可が取れた問題をベースにし、統一計画から独立したプロジェクトとしてスタートしたのが『クイズの杜』だった、ということになります。

――これまで「クイズの杜」をやってきたうえでの「やりがい」「楽しいところ」ってどんなところですか?

まずは、普通に「何覚えたらいい?」「『クイズの杜』に載っているこれだよ」という会話が耳や目に入るときですね。中・高で『クイズの杜』の問題群を使ってフリバをたくさんしているという話もよく聞きます。地域・経験・人脈関係なくアクセスできる共通問題の存在は、自由な形でクイズが普及していく上で重要だと、常々感じてます。あとは、オープンにした問題群を活用して、Excelツールやアプリとかが開発されているのを見た時です。問題をランダムに出題するExcelツールあたりは複数見たことがあります。クイズ界にはプログラム開発スキルがある人があふれているのですが、そういう人と融合するための「ソフト面(=問題)」が伴っていないことが多いので、5万問規模の「権利関係を明らかにした問題」を同じ書式でアップしたことがそういう流れにつながった、と思うと、嬉しいですね。

――運営について「こんなところが大変……」ということがありましたら教えてください。

初期に大変だったのは「問題アップの協力」をお願いすることですね。古い問題集とかはみなさん声をかければ、ほぼOKしてくれるケースが多くありがたい限りだったのですが、そういったメールのやり取りも、数が重なるとなかなか手間になってきます。

中期以降は何といっても「メンテナンス」です。アップロードの作業が大変なのはもちろんですが、修正も大変でした。クイズは“生き物”で、1年とか2年経つと使えない問題が増えていきます。時事問題はもちろんのこと、今はもう「総理府」も「自治省」もないですからね。「ここ間違っているよ」という指摘をしてくださる協力者は複数いらっしゃったのですが、今のシステムで修正するには「元にあるスタンドアローンのデータベースを直して」「htmlに再度書き出し」「アップロード」という手間が発生するわけです。さらに、作者側にも「修正をしてもいいよ」という許可を事前にもらうことが必要で、そのへんの環境整備にも苦労しました。

これまでの説明の部分と、問題のアップロードや表の整理は「運営側の手作業」に頼るところが多く、市川が忙しくなった8年くらい前から更新がほぼ止まることになってしまいました。更新を期待していただいている方々には本当に申し訳ないのですが……。これは誰かに引き継いでも同じことが起こるわけで、上記2つの作業を「管理人をあまり介さず」成立するようにしていかないと、同じ思想で運営は難しいかもしれません。

――最近、「クイズの杜」に寄せられるご意見・ご質問は、どんなものが多いのでしょうか?

クイズ界の人は、『クイズの杜』はボランティア運営だと理解してくださっているのか、最近は直接の要望はほとんど来ません。強いて言えば「せめてサイトだけは残してください!」とよく言われます。たまにプロバイダ閉鎖とかでサイトが止まることがあるのですが、引っ越しだけはするようにしています。サイトの閉鎖とかは管理人も気づいてないことがあるので、気づいたらこっそり教えて下さい。可能な範囲で対応します。

――現在デッドリンクが多いのですが、どこをクリックすれば問題が残っているか、教えていただければ幸いです。

基本は「html形式問題」のところをクリックすれば行けるはずです。書式を整えたものは今もアクセスできるはずですが、できないものは当面あきらめて下さい。管理できるシステムができれば……とは思っています。

この赤丸の部分です。

――初心者の方がもし最初に見るとしたら、どのページがおすすめでしょうか?

これは慎重に答えねばならない質問です。まず、『クイズの杜』としては、「この問題がお薦め」とは書きたくないのです。クイズはいろいろな人がいろいろな思想で作っているわけですから、問題をご提供いただいた作者は、サイトとしては全員平等に扱っていくべきと私は考えます。だから、『クイズの杜』としてこの質問にお答えすることはできないです。

市川個人として小さい声で回答するならば、以下のような感じかなと思います。ただし、いずれも「当時の時事」には気を付けて下さい。

・『abc』などの短文クイズの勉強をスタートするなら「クイズ大会abcの過去問」「メールマガジンQuizRoad」「第2回新人王早押王」など。

・短文クイズをさらに本格的にやるなら「メールマガジンクイズマガジン21」「岐阜クイズ愛好会過去問」あたりを。

・難問をかじりたいなら、「初期QUAPSの会報」、もしくは別サイトですが「日本クイズ連盟附属図書館(仮)」の問題を。

・自由な発想の作問を参考にしたいなら佐々木さんの「セカンドクイズ」などの問題を。

……とかでしょうか。本当は外部でいろいろな人がお薦め問題を書いてほしいです。「QuizDo」とかで、「初心者が最初に覚えるといい問題講座」みたいのを3人くらいに書かせてはどうでしょう?……なんて。『クイズ』の杜に限らず。

――ご無理申し上げました。確かに「一個人の意見」として、複数の人に「初心者向けの一手」を聞いてみるのはいいかもしれません。問題集にせよ『クイズの杜』にせよ。

次回は「クイズの杜」の未来についてお伺いします!

【文責:神野芳治】

https://quiz-schedule.info/quizdo/wp-content/uploads/2017/08/quiznomori2-1024x316.jpghttps://quiz-schedule.info/quizdo/wp-content/uploads/2017/08/quiznomori2-150x150.jpgquizdo問題掲載サイト問題前回に引き続いて『クイズの杜(もり)・問題リンク&ダウンロードサイト』の市川尚志さんに話を伺いました。 今回は『クイズの杜』を始めるきっかけと、運営について。 ――では、「クイズの杜」をやってみようと思ったきっかけってどんなところだったんですか? 早稲田大学に所属していた1990年代後半頃、当時「クイズスケジュール』を管理していた鈴木舟太さんらが、同じサイトで「クイズの問題書式統一計画」というのをやっていました。簡単にいえば、「問題を電子データにして、統一書式で管理していこう」というものでした。今思えばデータベースの管理設計など粗い点は多かったですが、当時としては革新的な取り組みであったと思いますし、有志でその書式で集められた問題は10万問とかになっていました。 市川は途中参加でそのプロジェクトに加わったのですが、その後、鈴木舟太さんがクイズを離れるときに、スケジュール管理はニシダアツシさんに、「問題統一計画」は市川に引き継ぐことになりました。そこまではみんなが持っている問題集を打ち込みあったりしていたのですが、多くの問題は非公開でした。その際、自分が思い出したのは高校時代の記憶……「あの時、もっと大量の問題に出会えていれば」……という思いです。これを踏まえて代表引継ぎ後、「集めた問題のうち、作者の許可を取れた問題はオープンに広く公開しましょう」という方針を提示し、プロジェクトに参加していた皆さんにOKしていただきました。 その後、私個人としてデータベースの問題をhtmlの表にする方法を勉強しました。統一計画でオープンにすることについてご本人の許可が取れた問題をベースにし、統一計画から独立したプロジェクトとしてスタートしたのが『クイズの杜』だった、ということになります。 ――これまで「クイズの杜」をやってきたうえでの「やりがい」「楽しいところ」ってどんなところですか? まずは、普通に「何覚えたらいい?」「『クイズの杜』に載っているこれだよ」という会話が耳や目に入るときですね。中・高で『クイズの杜』の問題群を使ってフリバをたくさんしているという話もよく聞きます。地域・経験・人脈関係なくアクセスできる共通問題の存在は、自由な形でクイズが普及していく上で重要だと、常々感じてます。あとは、オープンにした問題群を活用して、Excelツールやアプリとかが開発されているのを見た時です。問題をランダムに出題するExcelツールあたりは複数見たことがあります。クイズ界にはプログラム開発スキルがある人があふれているのですが、そういう人と融合するための「ソフト面(=問題)」が伴っていないことが多いので、5万問規模の「権利関係を明らかにした問題」を同じ書式でアップしたことがそういう流れにつながった、と思うと、嬉しいですね。 ――運営について「こんなところが大変……」ということがありましたら教えてください。 初期に大変だったのは「問題アップの協力」をお願いすることですね。古い問題集とかはみなさん声をかければ、ほぼOKしてくれるケースが多くありがたい限りだったのですが、そういったメールのやり取りも、数が重なるとなかなか手間になってきます。 中期以降は何といっても「メンテナンス」です。アップロードの作業が大変なのはもちろんですが、修正も大変でした。クイズは“生き物”で、1年とか2年経つと使えない問題が増えていきます。時事問題はもちろんのこと、今はもう「総理府」も「自治省」もないですからね。「ここ間違っているよ」という指摘をしてくださる協力者は複数いらっしゃったのですが、今のシステムで修正するには「元にあるスタンドアローンのデータベースを直して」「htmlに再度書き出し」「アップロード」という手間が発生するわけです。さらに、作者側にも「修正をしてもいいよ」という許可を事前にもらうことが必要で、そのへんの環境整備にも苦労しました。 これまでの説明の部分と、問題のアップロードや表の整理は「運営側の手作業」に頼るところが多く、市川が忙しくなった8年くらい前から更新がほぼ止まることになってしまいました。更新を期待していただいている方々には本当に申し訳ないのですが……。これは誰かに引き継いでも同じことが起こるわけで、上記2つの作業を「管理人をあまり介さず」成立するようにしていかないと、同じ思想で運営は難しいかもしれません。 ――最近、「クイズの杜」に寄せられるご意見・ご質問は、どんなものが多いのでしょうか? クイズ界の人は、『クイズの杜』はボランティア運営だと理解してくださっているのか、最近は直接の要望はほとんど来ません。強いて言えば「せめてサイトだけは残してください!」とよく言われます。たまにプロバイダ閉鎖とかでサイトが止まることがあるのですが、引っ越しだけはするようにしています。サイトの閉鎖とかは管理人も気づいてないことがあるので、気づいたらこっそり教えて下さい。可能な範囲で対応します。 ――現在デッドリンクが多いのですが、どこをクリックすれば問題が残っているか、教えていただければ幸いです。 基本は「html形式問題」のところをクリックすれば行けるはずです。書式を整えたものは今もアクセスできるはずですが、できないものは当面あきらめて下さい。管理できるシステムができれば……とは思っています。 ――初心者の方がもし最初に見るとしたら、どのページがおすすめでしょうか? これは慎重に答えねばならない質問です。まず、『クイズの杜』としては、「この問題がお薦め」とは書きたくないのです。クイズはいろいろな人がいろいろな思想で作っているわけですから、問題をご提供いただいた作者は、サイトとしては全員平等に扱っていくべきと私は考えます。だから、『クイズの杜』としてこの質問にお答えすることはできないです。 市川個人として小さい声で回答するならば、以下のような感じかなと思います。ただし、いずれも「当時の時事」には気を付けて下さい。 ・『abc』などの短文クイズの勉強をスタートするなら「クイズ大会abcの過去問」「メールマガジンQuizRoad」「第2回新人王早押王」など。 ・短文クイズをさらに本格的にやるなら「メールマガジンクイズマガジン21」「岐阜クイズ愛好会過去問」あたりを。 ・難問をかじりたいなら、「初期QUAPSの会報」、もしくは別サイトですが「日本クイズ連盟附属図書館(仮)」の問題を。 ・自由な発想の作問を参考にしたいなら佐々木さんの「セカンドクイズ」などの問題を。 ……とかでしょうか。本当は外部でいろいろな人がお薦め問題を書いてほしいです。「QuizDo」とかで、「初心者が最初に覚えるといい問題講座」みたいのを3人くらいに書かせてはどうでしょう?……なんて。『クイズ』の杜に限らず。 ――ご無理申し上げました。確かに「一個人の意見」として、複数の人に「初心者向けの一手」を聞いてみるのはいいかもしれません。問題集にせよ『クイズの杜』にせよ。 次回は「クイズの杜」の未来についてお伺いします! 【文責:神野芳治】クイズに興味を持った方・初心者の方からベテランまで! ”やる”クイズ支援サイト