前回は「電子書籍って何?」ということをご説明しました。
ここから「読者」と「販売者」それぞれの立場で「電子書籍」と「紙の問題集」を、『mono-series』などの問題集を電子書籍で販売している橙武者ことQuiz Do編集長・神野が比較していきます。
電子書籍の販売サイトにはこちらよりリンクを貼っておりますので、ご参考まで!

【その前に……】

前提ですが、僕は「電子書籍も紙の問題集も、もっと市場が広がってほしい」と思っています。「電子書籍が上」「紙が上」という話をするつもりはありません(僕自身、もともと紙の問題集の通販サイトを運営していましたので……)。どちらにもそれぞれのメリット、向く場面があります。
また、比較はするんですが、「紙版と電子書籍版、両方で売っている問題集があるの?」というと、現状はまだありません(紙だけ、電子書籍だけ、という問題集がほとんど)。
もっと多くの方に電子書籍のメリットを感じていただいた上で、問題集を出すときに、「電子書籍だけで出す」「紙と電子書籍の両方で出す」「紙で出すけど、売切れたら電子書籍で出す」などの選択肢も考慮いただけたら、と思っています。

【「電子書籍」と「紙の問題集」の比較~読者にとって~】

今回は、まず両者の比較を、「読者が」「実際に読むとき」どうか、という視点で行います。

電子書籍 紙の問題集
読みやすさ △文字を拡大できるので、小さい文字の問題集は読みやすい。ただ、「液晶より紙の方が見やすい」という層の方が多いと思われる。 ○「液晶で見るより紙の方が見やすい、目が疲れない」という層は一定数存在。
外部機器の必要性 ×データがあっても、パソコンなどの外部機器が必要。また、機器があっても、バッテリーが切れたら読めない。 ○本さえあれば読める。バッテリーを気にする必要も当然ない。
カラー ○カラーの問題集でもモノクロでもコストは同じ→カラーの問題集が安価に手に入る。 ×カラーだと相応のコストがかかる。
検索性 ○テキスト認識していれば検索は容易。 ×検索性は電子書籍に劣る。
収納性 ○コンパクトに収納可能。また、「この問題集を読みたい」というときにスムーズにアクセス可能。 ×紙の問題集はどうしてもかさばる。また、収納方法を工夫しないと、「あの問題集どこだっけ」ということになりがち。
携帯性 ○何十冊、何百冊でも持ち歩ける。 ×持ち歩くと重い、かさばる。
安定性 ×ただのPDFファイルなので、パソコンが故障したら当然パー。定期的なバックアップは必要。DLMarketもダウンロードの期間が限られている。 ○汚す、破ける、燃える、紛失する……などの可能性はゼロではないが、電子媒体に比べれば安定性は上。
書き込みのしやすさ ×Acrobatなどでチェック・書き込みは不可能ではないが、手書きよりは操作性は劣る。 ○すぐに書きこめる。
売り切れ ○売り切れは存在しない(販売終了はあり得る)。 ×当然ながら、印刷した部数がなくなれば絶版となる。追加で印刷されることも多いとはいえない。
リンク ○電子書籍ならではの利点。他のサイトにリンクを貼ることができる。ただ、デッドリンクになる可能性大。 ×リンクは当然貼れない。

……と機能面をいろいろ書いてきましたが、実のところ、一番大きな要因は「紙ならでは」「データならでは」という点のこだわりなのかもしれません。情緒面、というべきでしょうか。

クイズに限った話ではなく、電子書籍の方が便利ですよと言っても、やはり「紙の感触」「インクの感触」の魅力は紙にしかない……という人は確実に存在します。一方で電子書籍の先進性に魅力を感じる人もいる。そこはさまざまだし、さまざまでいい部分だと思います。

機能面については「紙ならでは」「データならでは」のそれぞれの利点があるので、どちらを優先させるか。また「機材の状況」や「どんな場面で問題集を読みたいか」などにより、どちらがいいかは人によって変わってきます。

【神野自身の感想】

ここからは僕個人の感想です。
僕自身が電子書籍について感じているメリットは、【携帯しやすさ】と【収納しやすさ】ですね。

普段持ち歩いているノートパソコンに、「紙の問題集を自炊したもの(過去25年に購入したものはひと通り自炊しました)」と「電子書籍で購入したもの」の問題データをひと通り入れています。で、サークルなどの空き時間に問題を読む必要があるときはそこから読む、と。紙の形であれば5冊10冊持ち歩いただけで結構重いですが、その数十倍の問題集を「ノートパソコンの重さだけ」で簡単に持ち歩けるわけで、これは昔と比べると凄いことだなあ、と。有効活用はあまりできていませんが……。

フォルダ分けの一部。こんな感じで分けておくとあとあと探しやすいです。(神野)

また、以前は90cm幅の棚1本分、問題集が占拠していました。これが丸々データ化されたので(1年近くかかりましたが……)、居住スペースもゆとりができましたし、引っ越すときも楽になりました。「この問題集を読みたい」というときに、紙であれば「本棚へ行って」「どこにあるか探して」「読み終わったらもとに戻す(これができずに散らかる&なくす!)」手間がかかるのが、電子書籍であればひと通りパソコン上でできてしまう。あらかじめフォルダ分けしておく必要はありますが……。

まあ、これは「電子書籍を購入する」というよりは「自炊」の方のメリットではあります。
とはいえここ数年で電子書籍が何十冊か増えている話でもありますし、今後「電子書籍で買う」という選択肢がとれれば自炊しなくても上記のメリットを享受できるので、共通して言えることかな、と思っています。

次回は「問題集を入手するとき」にフォーカスを当てます!

【文責:神野芳治】

https://quiz-schedule.info/quizdo/wp-content/uploads/2017/09/books1.jpghttps://quiz-schedule.info/quizdo/wp-content/uploads/2017/09/books1-150x150.jpgquizdo問題電子書籍サイト前回は「電子書籍って何?」ということをご説明しました。 ここから「読者」と「販売者」それぞれの立場で「電子書籍」と「紙の問題集」を、『mono-series』などの問題集を電子書籍で販売している橙武者ことQuiz Do編集長・神野が比較していきます。 電子書籍の販売サイトにはこちらよりリンクを貼っておりますので、ご参考まで! 【その前に……】 前提ですが、僕は「電子書籍も紙の問題集も、もっと市場が広がってほしい」と思っています。「電子書籍が上」「紙が上」という話をするつもりはありません(僕自身、もともと紙の問題集の通販サイトを運営していましたので……)。どちらにもそれぞれのメリット、向く場面があります。 また、比較はするんですが、「紙版と電子書籍版、両方で売っている問題集があるの?」というと、現状はまだありません(紙だけ、電子書籍だけ、という問題集がほとんど)。 もっと多くの方に電子書籍のメリットを感じていただいた上で、問題集を出すときに、「電子書籍だけで出す」「紙と電子書籍の両方で出す」「紙で出すけど、売切れたら電子書籍で出す」などの選択肢も考慮いただけたら、と思っています。 【「電子書籍」と「紙の問題集」の比較~読者にとって~】 今回は、まず両者の比較を、「読者が」「実際に読むとき」どうか、という視点で行います。 電子書籍 紙の問題集 読みやすさ △文字を拡大できるので、小さい文字の問題集は読みやすい。ただ、「液晶より紙の方が見やすい」という層の方が多いと思われる。 ○「液晶で見るより紙の方が見やすい、目が疲れない」という層は一定数存在。 外部機器の必要性 ×データがあっても、パソコンなどの外部機器が必要。また、機器があっても、バッテリーが切れたら読めない。 ○本さえあれば読める。バッテリーを気にする必要も当然ない。 カラー ○カラーの問題集でもモノクロでもコストは同じ→カラーの問題集が安価に手に入る。 ×カラーだと相応のコストがかかる。 検索性 ○テキスト認識していれば検索は容易。 ×検索性は電子書籍に劣る。 収納性 ○コンパクトに収納可能。また、「この問題集を読みたい」というときにスムーズにアクセス可能。 ×紙の問題集はどうしてもかさばる。また、収納方法を工夫しないと、「あの問題集どこだっけ」ということになりがち。 携帯性 ○何十冊、何百冊でも持ち歩ける。 ×持ち歩くと重い、かさばる。 安定性 ×ただのPDFファイルなので、パソコンが故障したら当然パー。定期的なバックアップは必要。DLMarketもダウンロードの期間が限られている。 ○汚す、破ける、燃える、紛失する……などの可能性はゼロではないが、電子媒体に比べれば安定性は上。 書き込みのしやすさ ×Acrobatなどでチェック・書き込みは不可能ではないが、手書きよりは操作性は劣る。 ○すぐに書きこめる。 売り切れ ○売り切れは存在しない(販売終了はあり得る)。 ×当然ながら、印刷した部数がなくなれば絶版となる。追加で印刷されることも多いとはいえない。 リンク ○電子書籍ならではの利点。他のサイトにリンクを貼ることができる。ただ、デッドリンクになる可能性大。 ×リンクは当然貼れない。 ……と機能面をいろいろ書いてきましたが、実のところ、一番大きな要因は「紙ならでは」「データならでは」という点のこだわりなのかもしれません。情緒面、というべきでしょうか。 クイズに限った話ではなく、電子書籍の方が便利ですよと言っても、やはり「紙の感触」「インクの感触」の魅力は紙にしかない……という人は確実に存在します。一方で電子書籍の先進性に魅力を感じる人もいる。そこはさまざまだし、さまざまでいい部分だと思います。 機能面については「紙ならでは」「データならでは」のそれぞれの利点があるので、どちらを優先させるか。また「機材の状況」や「どんな場面で問題集を読みたいか」などにより、どちらがいいかは人によって変わってきます。 【神野自身の感想】 ここからは僕個人の感想です。 僕自身が電子書籍について感じているメリットは、【携帯しやすさ】と【収納しやすさ】ですね。 普段持ち歩いているノートパソコンに、「紙の問題集を自炊したもの(過去25年に購入したものはひと通り自炊しました)」と「電子書籍で購入したもの」の問題データをひと通り入れています。で、サークルなどの空き時間に問題を読む必要があるときはそこから読む、と。紙の形であれば5冊10冊持ち歩いただけで結構重いですが、その数十倍の問題集を「ノートパソコンの重さだけ」で簡単に持ち歩けるわけで、これは昔と比べると凄いことだなあ、と。有効活用はあまりできていませんが……。 また、以前は90cm幅の棚1本分、問題集が占拠していました。これが丸々データ化されたので(1年近くかかりましたが……)、居住スペースもゆとりができましたし、引っ越すときも楽になりました。「この問題集を読みたい」というときに、紙であれば「本棚へ行って」「どこにあるか探して」「読み終わったらもとに戻す(これができずに散らかる&なくす!)」手間がかかるのが、電子書籍であればひと通りパソコン上でできてしまう。あらかじめフォルダ分けしておく必要はありますが……。 まあ、これは「電子書籍を購入する」というよりは「自炊」の方のメリットではあります。 とはいえここ数年で電子書籍が何十冊か増えている話でもありますし、今後「電子書籍で買う」という選択肢がとれれば自炊しなくても上記のメリットを享受できるので、共通して言えることかな、と思っています。 次回は「問題集を入手するとき」にフォーカスを当てます! 【文責:神野芳治】クイズに興味を持った方・初心者の方からベテランまで! ”やる”クイズ支援サイト