「長屋クイズアリーナ3」・ぽーまんさん(2):『ゲームはみんながわいわい楽しむものだ』という考え方もアリ。そんな立場からクイズの場を提供したい」
前回に引き続き、オンラインクイズ上の早押しソフト「長屋クイズアリーナ3」の開発者のぽーまんさんにお話を伺いました。
なお、ぽーまんさんご自身のblog『ぺんぎんの布団』の記事「長屋クイズアリーナ3が完成しました」で開発意図を書かれています。当記事とあわせてお読みいただければ幸いです。
――「2.両者が全力を尽くし、両者が均等にボタンを点け、ダウンタイムが短く、勝ったり負けたりの勝負ができる」ような早押しのルールはないものでしょうか?」という課題意識に対して、「遅延ハンデと変則ルールの実装」を挙げられています。
遅延ハンデというのは、クイズでは比較的珍しいと考えています(この機能がある早押し機も出てきているようですが)。このハンデを思いついたきっかけはどのようなものでしょうか?
特にきっかけというものはなく、むしろ挙げた問題の解決法としてはいたって自然で素朴な考えかなと思っています。
まず、ダウンタイム(他のプレイヤーが何かしらの行動を取っているのを待つ時間のこと。つまり、黙ってゲームを見ているだけの時間のこと)を短くするならば「休み」を採用するわけにはいかないので、全員がボタンにつかなければなりません。
全員がボタンにつく状況で両者が均等にボタンをつけるには、初級者がたとえ分からなくてもボタンを押せる仕組みにするか、上級者がたとえ分かってもボタンを点けられないようにするしかありません。初級者にもできれば解答してほしいので、ここでは後者を選択します。
最後に、上級者のボタンが光らせないとするならその手段は3つしかありません。それは次のうちのどれかです。
(1)押すことを躊躇うルール的理由を用意する
(2)ボタンが確率的に機能しない
(3)ボタンの反応にラグがある
(1)のルール面でのアプローチは既に多く試されています。経験者だけ1×ルールとかが最たるものでしょう。しかし、(2)と(3)の例は数を見ません。そこで(2)のアプローチを変則ルール「Naidesu」で実験的に取り入れました。遅延ハンデは(3)を試してみただけに過ぎません。
余談になってしまいますが、「ゲームは強いものが勝つものだ。そして勝つために強くなるのだ」というのは考え方は多くの人が持っているかと思います。そういう人たちにとって、「強さ」を均してしまうような仕組みは受け入れがたいかもしれません。でも、「ゲームはみんながわいわい楽しむものだ」という考え方もアリだと僕は思っているので、そんな立場からクイズの場を提供したいと願ってこのような仕組みを取り入れています。
今夜はゲストの方もお招きして長屋クイズアリーナ3を使いクイズをしました!
「コバンザメ」「メロンパン」などの特殊なルールができ、とても楽しかったです
中でも「Naidesu」はかなりディストピアルールでした笑
笑いの絶えない2時間半になりました!ありがとうございました!
胡桃昨夜の活動報告
— CINDERELLA (@CINDERELLA_YOIQ) August 25, 2018
――また、変則ルールについても大変面白いものだと思いますが、どのようなきっかけで思いついたのでしょうか?
変則ルールとして取り入れているのは「Naidesu」「Kobanzame」「LuckyShot」の3つです。このうち「Naidesu」を思いついたきっかけは先程お話しした通りです。
「Kobanzame」は問題が難しすぎてゲームに参加できないでいる初心者のことを考えた結果自然に生まれたルールです。問題に正解することもクイズの喜びの1つですが、ボタンを光らせることもまたクイズの楽しさです。身も蓋もない話、問題の答えが分からなくてもボタンを押すことはできるので、まずはボタンを光らせることから楽しんでもらおうと意図しました。
そのためには、ボタンを点けるだけで得点できる仕組みが必要です。これらの条件は二人羽織でも満足できますが、これは「相方に恥をかかせてしまう」という意識で指が固まってしまう人も多いので、もっと自分勝手に押せるルールにするため個人戦にしました。しかし、真っ先に光らせただけで得点できるというのではゲームが崩壊してしまうため(それじゃ「問題」の声に反応するだけのゲームになってしまいます)、じゃあ2番目なら得点できることにしようというので「Kobanzame」が完成しました。
完成したとは言っても、面子の実力が伯仲している場合や難問傾向の場合には泥仕合になるきらいがあるので、改善の余地はあると思っています。例えば、1番目の正誤にかかわらず2番目には点数を与える……とか。
「LuckyShot」は今までのコンセプトとは違って、初心者のことはまったく考えていません。多くの早押しルールで、状況によって押しの姿勢が攻めたものになったり手堅くなったりというのがとても面白いと思ったので、その「状況」をもっと極端にコロコロ変えたらお祭りっぽくて楽しそうじゃないかな……という思いつきです。テストプレイもせずにえいやっと適当に実装したので目論見通りではないかもしれないですけど。
次回も引き続きぽーまんさんに話をお伺いします!
【文責:神野芳治】
https://quiz-schedule.info/quizdo/?p=1853https://quiz-schedule.info/quizdo/wp-content/uploads/2018/11/naidesu-1024x454.pnghttps://quiz-schedule.info/quizdo/wp-content/uploads/2018/11/naidesu-150x150.pngクイズリンクその他早押しアプリなど早押し機前回に引き続き、オンラインクイズ上の早押しソフト「長屋クイズアリーナ3」の開発者のぽーまんさんにお話を伺いました。 なお、ぽーまんさんご自身のblog『ぺんぎんの布団』の記事「長屋クイズアリーナ3が完成しました」で開発意図を書かれています。当記事とあわせてお読みいただければ幸いです。 ――「2.両者が全力を尽くし、両者が均等にボタンを点け、ダウンタイムが短く、勝ったり負けたりの勝負ができる」ような早押しのルールはないものでしょうか?」という課題意識に対して、「遅延ハンデと変則ルールの実装」を挙げられています。 遅延ハンデというのは、クイズでは比較的珍しいと考えています(この機能がある早押し機も出てきているようですが)。このハンデを思いついたきっかけはどのようなものでしょうか? 特にきっかけというものはなく、むしろ挙げた問題の解決法としてはいたって自然で素朴な考えかなと思っています。 まず、ダウンタイム(他のプレイヤーが何かしらの行動を取っているのを待つ時間のこと。つまり、黙ってゲームを見ているだけの時間のこと)を短くするならば「休み」を採用するわけにはいかないので、全員がボタンにつかなければなりません。 全員がボタンにつく状況で両者が均等にボタンをつけるには、初級者がたとえ分からなくてもボタンを押せる仕組みにするか、上級者がたとえ分かってもボタンを点けられないようにするしかありません。初級者にもできれば解答してほしいので、ここでは後者を選択します。 最後に、上級者のボタンが光らせないとするならその手段は3つしかありません。それは次のうちのどれかです。 (1)押すことを躊躇うルール的理由を用意する (2)ボタンが確率的に機能しない (3)ボタンの反応にラグがある (1)のルール面でのアプローチは既に多く試されています。経験者だけ1×ルールとかが最たるものでしょう。しかし、(2)と(3)の例は数を見ません。そこで(2)のアプローチを変則ルール「Naidesu」で実験的に取り入れました。遅延ハンデは(3)を試してみただけに過ぎません。 余談になってしまいますが、「ゲームは強いものが勝つものだ。そして勝つために強くなるのだ」というのは考え方は多くの人が持っているかと思います。そういう人たちにとって、「強さ」を均してしまうような仕組みは受け入れがたいかもしれません。でも、「ゲームはみんながわいわい楽しむものだ」という考え方もアリだと僕は思っているので、そんな立場からクイズの場を提供したいと願ってこのような仕組みを取り入れています。 https://twitter.com/CINDERELLA_YOIQ/status/1033490491017375744 ――また、変則ルールについても大変面白いものだと思いますが、どのようなきっかけで思いついたのでしょうか? 変則ルールとして取り入れているのは「Naidesu」「Kobanzame」「LuckyShot」の3つです。このうち「Naidesu」を思いついたきっかけは先程お話しした通りです。 「Kobanzame」は問題が難しすぎてゲームに参加できないでいる初心者のことを考えた結果自然に生まれたルールです。問題に正解することもクイズの喜びの1つですが、ボタンを光らせることもまたクイズの楽しさです。身も蓋もない話、問題の答えが分からなくてもボタンを押すことはできるので、まずはボタンを光らせることから楽しんでもらおうと意図しました。 そのためには、ボタンを点けるだけで得点できる仕組みが必要です。これらの条件は二人羽織でも満足できますが、これは「相方に恥をかかせてしまう」という意識で指が固まってしまう人も多いので、もっと自分勝手に押せるルールにするため個人戦にしました。しかし、真っ先に光らせただけで得点できるというのではゲームが崩壊してしまうため(それじゃ「問題」の声に反応するだけのゲームになってしまいます)、じゃあ2番目なら得点できることにしようというので「Kobanzame」が完成しました。 完成したとは言っても、面子の実力が伯仲している場合や難問傾向の場合には泥仕合になるきらいがあるので、改善の余地はあると思っています。例えば、1番目の正誤にかかわらず2番目には点数を与える……とか。 「LuckyShot」は今までのコンセプトとは違って、初心者のことはまったく考えていません。多くの早押しルールで、状況によって押しの姿勢が攻めたものになったり手堅くなったりというのがとても面白いと思ったので、その「状況」をもっと極端にコロコロ変えたらお祭りっぽくて楽しそうじゃないかな……という思いつきです。テストプレイもせずにえいやっと適当に実装したので目論見通りではないかもしれないですけど。 次回も引き続きぽーまんさんに話をお伺いします! 【文責:神野芳治】quizdo quizdo2017@gmail.comAdministratorQuiz Do