今回、『解神2018』にクイズプレーヤー・山下雄太さんに参加いただき、手記を書いていただきました。「新・一心精進」に掲載されるイベントは全国津々浦々、様々な傾向のものに極力参加する歴戦の雄・山下さん。『解神2018』に対してはどのような感想を抱くのでしょうか。事前の準備(対策)についても定評のある山下さんだけに、当日だけではなく事前の過ごし方についても注目です。
なお、前回の記事はこちら

・はじめに

山下雄太と申します。Quiz Do編集部からのご依頼を受け、取材を兼ねて「解神2018」に参加させていただきました。
当日まで不安でいっぱいでしたが、勝負が始まると謎解きで競い合うことの面白さ、熱さを感じ取れました。
本稿は、普段クイズをやっている参加者、という立場からの参戦記です。一つの視点としてお読みいただければ幸いです。

・前日まで

解神という大会は第一回開催時から聞き知っていました。謎解き的なものが得意な自覚もありましたが、解神は真のエキスパートのための大会というイメージがあり、自分のような経験不足の一般人が出て勝負になるとは思えず、参加を見送っていました。
今回、Quiz Do編集部からのオファーがあったのに加えて、クイズスケジュール管理サイトの「新・一心精進」に掲載されたことが決め手となり、参加してみようという気持ちになりました。
出るからには少し対策をしておこうと、「Puzzlish」で過去問題集を購入しました。過去問に触れて、頻繁に使われる着眼点(五十音/アルファベット、曜日/月/干支、置き換えetc.)を把握しました。しかしこの程度のことは熟練した謎解き愛好家なら遥か昔に通った道であろうと思います。上級者の戦いとはどのようなものになるのか、プレイヤーとしての不安と、見届人としての期待を抱えながら当日を迎えました。

参加者たちを出迎えるウェルカムボード。はたして今回の「解神」に輝くのは誰か……。

・当日開始前

会場に着くと、既に多くの来場者の方々がそこかしこにグループを成し、談笑している光景が目に入りました。クイズの場でお見かけする顔もありましたが、ほとんどの方は初めてで、新鮮なアウェイ感を覚えました。この感覚は長年クイズをやっていると忘れがちなので、クイズの場の空気を作る上では意識しておきたいものです。
最初の関門である「勝鬨」は、画面に表示される問題を見て筆記で解答するラウンドなので、画面の見やすい席に座ることも重要です。遅れてきた自分の席からの見やすさは今一つでしたが、「惨敗したら席のせいにしよう」と、かえって気が楽になりました。

・勝鬨

最初に行われる「勝鬨」は、クイズ風に表現すれば「20問ビジュアルペーパー」です。1問あたり表示されるのは30秒ですが、解答用紙の余白やアンケートの裏はメモとして使って良いため、問題の断片を書き留めて後から処理するなどタイムマネジメントの要素もあります。
当たり前のことですが、この形式には「ある問題を瞬殺しても30秒経つまで次の問題に進めない」「行き詰まっても30秒経ったら問題を見られなくなる」という2つの特徴があります。冊子型の過去問題集ではこの点を追体験することは難しいです。「どこかでペースを乱され、それを引きずって解ける問題も解けなくなるような事態は避けよう」という心がけで臨みました。

そして幕が切って落とされました。当参戦記では問題の具体的な内容には触れないことにしていますので、以降抽象的な表現となることをお許しください。苦手な判じ絵系問題が早く解けた一方で、得意な語彙系問題に手間取り、メモを残すこともありました。しかし焦ることはなく、時間をうまくコントロールできている手ごたえもありました。
10分間はあっという間に過ぎました。解説のスライドを見ながら交換採点します。正解した問題であってもヒントを見落として時間をロスしていたことに気付かされます。全く解けなかった問題も、自分の思考に何が足りなかったか分かる、絶妙な難易度設定だと感じました。

そして結果発表。会場で20点満点だったのは、前回優勝したディフェンディングゴッド(?)のクィアウルフさんただ一人でした。「仕上がってる」とはこういう人のことを言うんだなあとただただ驚嘆していました。勝鬨の上位4人は、次の早押し予選「修羅」をスキップして本戦の解神ラウンドに進出します。19点がお2人いらっしゃって、残る進出枠は1つ。僕は18点だったので、次に呼ばれましたが、さすがに同点多数のため、一足飛びの残り1枠を争うサドンデスが行われます。いよいよ早押しです。

・解神進出枠争奪サドンデス~修羅進出枠争奪サドンデス

サドンデスは早押し謎解きです。画面に問題が表示され、答えが分かったら早押しボタンを押します。正解で勝ち、誤答は失格です。クイズでいう「1○1×サドンデス」です。なお、ボタンが押されるとただちにモニターが隠されるため、シンキングタイムでひねり出すにはそれなりに記憶力を要します。
解神への直通チケットは残り1枠だけですが、このサドンデスで負けても次の早押し予選「修羅」への進出は保証されています。僕は修羅に勝ち進めた喜びの方が大きくて、「分かりそうだったら適当に押してやれ」とリラックスして臨みました。しかし、切り口すらひらめかずに正解されて終わりました。上位層との差を感じました。

上位4人を除く参加者のうち、16人が修羅に進出します。
まず招待選手(前回ベスト8進出者)の中で上位4人に入らなかった人で枠を埋め、残りを一般参加者の上位者で埋める、という手順です。招待選手と我々18点勢だけでかなり枠が埋まり、次ぐ17点で枠を1人分オーバーしました。この場合1人を落とすサドンデスが発生します。ルールは同じく1○1×。もちろん16点以下の人にはサドンデスのチャンスすら与えられません。参加者の実力がボーダー付近で拮抗しており、1問の差が勝敗を分けていたことがうかがえます。
同じ1○1×でも先ほどの「1人抜け」と今回の「1人落ち」では大きく様相が異なります。序盤の「次で抜ければ良いから慎重に」という心情が、残り枠の減少に伴って焦りを生んでいき、途中誤答があって決着となりました。こういった緊張感を生むあたり、即失格ルールが効いていると思います。

次回は「修羅」に進出した山下さんの奮闘ぶりをお送りします!

【文責:山下雄太】

https://quiz-schedule.info/quizdo/wp-content/uploads/2018/05/DSC_0192-576x1024.jpghttps://quiz-schedule.info/quizdo/wp-content/uploads/2018/05/DSC_0192-150x150.jpgquizdo“やる”クイズリポートイベントリポート今回、『解神2018』にクイズプレーヤー・山下雄太さんに参加いただき、手記を書いていただきました。「新・一心精進」に掲載されるイベントは全国津々浦々、様々な傾向のものに極力参加する歴戦の雄・山下さん。『解神2018』に対してはどのような感想を抱くのでしょうか。事前の準備(対策)についても定評のある山下さんだけに、当日だけではなく事前の過ごし方についても注目です。 なお、前回の記事はこちら。 ・はじめに 山下雄太と申します。Quiz Do編集部からのご依頼を受け、取材を兼ねて「解神2018」に参加させていただきました。 当日まで不安でいっぱいでしたが、勝負が始まると謎解きで競い合うことの面白さ、熱さを感じ取れました。 本稿は、普段クイズをやっている参加者、という立場からの参戦記です。一つの視点としてお読みいただければ幸いです。 ・前日まで 解神という大会は第一回開催時から聞き知っていました。謎解き的なものが得意な自覚もありましたが、解神は真のエキスパートのための大会というイメージがあり、自分のような経験不足の一般人が出て勝負になるとは思えず、参加を見送っていました。 今回、Quiz Do編集部からのオファーがあったのに加えて、クイズスケジュール管理サイトの「新・一心精進」に掲載されたことが決め手となり、参加してみようという気持ちになりました。 出るからには少し対策をしておこうと、「Puzzlish」で過去問題集を購入しました。過去問に触れて、頻繁に使われる着眼点(五十音/アルファベット、曜日/月/干支、置き換えetc.)を把握しました。しかしこの程度のことは熟練した謎解き愛好家なら遥か昔に通った道であろうと思います。上級者の戦いとはどのようなものになるのか、プレイヤーとしての不安と、見届人としての期待を抱えながら当日を迎えました。 ・当日開始前 会場に着くと、既に多くの来場者の方々がそこかしこにグループを成し、談笑している光景が目に入りました。クイズの場でお見かけする顔もありましたが、ほとんどの方は初めてで、新鮮なアウェイ感を覚えました。この感覚は長年クイズをやっていると忘れがちなので、クイズの場の空気を作る上では意識しておきたいものです。 最初の関門である「勝鬨」は、画面に表示される問題を見て筆記で解答するラウンドなので、画面の見やすい席に座ることも重要です。遅れてきた自分の席からの見やすさは今一つでしたが、「惨敗したら席のせいにしよう」と、かえって気が楽になりました。 ・勝鬨 最初に行われる「勝鬨」は、クイズ風に表現すれば「20問ビジュアルペーパー」です。1問あたり表示されるのは30秒ですが、解答用紙の余白やアンケートの裏はメモとして使って良いため、問題の断片を書き留めて後から処理するなどタイムマネジメントの要素もあります。 当たり前のことですが、この形式には「ある問題を瞬殺しても30秒経つまで次の問題に進めない」「行き詰まっても30秒経ったら問題を見られなくなる」という2つの特徴があります。冊子型の過去問題集ではこの点を追体験することは難しいです。「どこかでペースを乱され、それを引きずって解ける問題も解けなくなるような事態は避けよう」という心がけで臨みました。 そして幕が切って落とされました。当参戦記では問題の具体的な内容には触れないことにしていますので、以降抽象的な表現となることをお許しください。苦手な判じ絵系問題が早く解けた一方で、得意な語彙系問題に手間取り、メモを残すこともありました。しかし焦ることはなく、時間をうまくコントロールできている手ごたえもありました。 10分間はあっという間に過ぎました。解説のスライドを見ながら交換採点します。正解した問題であってもヒントを見落として時間をロスしていたことに気付かされます。全く解けなかった問題も、自分の思考に何が足りなかったか分かる、絶妙な難易度設定だと感じました。 そして結果発表。会場で20点満点だったのは、前回優勝したディフェンディングゴッド(?)のクィアウルフさんただ一人でした。「仕上がってる」とはこういう人のことを言うんだなあとただただ驚嘆していました。勝鬨の上位4人は、次の早押し予選「修羅」をスキップして本戦の解神ラウンドに進出します。19点がお2人いらっしゃって、残る進出枠は1つ。僕は18点だったので、次に呼ばれましたが、さすがに同点多数のため、一足飛びの残り1枠を争うサドンデスが行われます。いよいよ早押しです。 ・解神進出枠争奪サドンデス~修羅進出枠争奪サドンデス サドンデスは早押し謎解きです。画面に問題が表示され、答えが分かったら早押しボタンを押します。正解で勝ち、誤答は失格です。クイズでいう「1○1×サドンデス」です。なお、ボタンが押されるとただちにモニターが隠されるため、シンキングタイムでひねり出すにはそれなりに記憶力を要します。 解神への直通チケットは残り1枠だけですが、このサドンデスで負けても次の早押し予選「修羅」への進出は保証されています。僕は修羅に勝ち進めた喜びの方が大きくて、「分かりそうだったら適当に押してやれ」とリラックスして臨みました。しかし、切り口すらひらめかずに正解されて終わりました。上位層との差を感じました。 上位4人を除く参加者のうち、16人が修羅に進出します。 まず招待選手(前回ベスト8進出者)の中で上位4人に入らなかった人で枠を埋め、残りを一般参加者の上位者で埋める、という手順です。招待選手と我々18点勢だけでかなり枠が埋まり、次ぐ17点で枠を1人分オーバーしました。この場合1人を落とすサドンデスが発生します。ルールは同じく1○1×。もちろん16点以下の人にはサドンデスのチャンスすら与えられません。参加者の実力がボーダー付近で拮抗しており、1問の差が勝敗を分けていたことがうかがえます。 同じ1○1×でも先ほどの「1人抜け」と今回の「1人落ち」では大きく様相が異なります。序盤の「次で抜ければ良いから慎重に」という心情が、残り枠の減少に伴って焦りを生んでいき、途中誤答があって決着となりました。こういった緊張感を生むあたり、即失格ルールが効いていると思います。 次回は「修羅」に進出した山下さんの奮闘ぶりをお送りします! 【文責:山下雄太】クイズに興味を持った方・初心者の方からベテランまで! ”やる”クイズ支援サイト