山下雄太さんによる、普段クイズをやっている参加者という立場からの『解神2018』参戦記、第2回です。
前回はこちら

・修羅

「修羅」は、16人を2組に分けて行う「早押し謎解き」です。3問正解で「解神」トーナメント進出、誤答は即失格。各組2人ずつが勝ち抜けます。クイズ風に表現すると「3○1×(8→2)×2」です。僕は1組目からの参加でしたが、2回のサドンデスが発生してくれたおかげで早押し謎解きの戦い方について、ある程度の想像力をはたらかせることができました。

出題が始まりました(ここでも問題内容については触れません)。第1問を取ったのは僕でした。ここでようやく「自分でも勝負に参加できる」という実感を得ました。5問目まではすべて違うプレイヤーが正解し、平らな展開になりました。第6問を僕が取って最初にリーチをかけましたが、すぐに追いつかれ、9問目で六角定規さんが1抜け。「さすが初代『解神』…」という感想を抱けるのも、予習の成果です。
この時点でリーチは、僕と招待選手の山下さんの2人(名前がまぎらわしいですが「山下」と「山下雄太」がいます)。残り枠はひとつ。普段のクイズでもこの局面でどれくらい攻めるかは難しいところです。最初に1○取ったのも、最初に2○に達したのも僕で、僅差の押し負けも何問もあったので「ここで負けたら悔やんでも悔やみきれない……」とギアを上げることにしました。

第10問は少し知識の要素が含まれた問題で、僕はこれを正解でき、「解神」トーナメント進出を決めました。ベタ知識と早押しの両面で「クイズ慣れ」をアドバンテージにできたのだと思います。「解神」トーナメントに向けて、“謎解き脳”を維持しつつも、集中力を使いすぎないことを意識し、2組目の戦いは、あえて気楽に観戦していました。いつもクイズの場でお世話になっているノダシューさんがここで敗退されてしまい、クイズを主戦場にしている参加者の最後の生き残り(たぶん)として身が引き締まる思いでした。そして決勝ラウンド「解神」を戦う8人が出そろいました。

・解神1回戦

決勝ラウンドの「解神」は8人によるトーナメントです。各試合は1対1で行われます。2人がステージ上で視線を一身に集めて激突する様子は、まるで格闘技イベントを連想させます。そういえばクイズ番組の『Knock Out』も、同じようなコンセプトで演出されているようにみえます。

試合形式は、15問を3分間で早解きし、正解問題数を競うものです。同時に取り組める問題は1問のみで、次の問題に進む場合はパスすることもできます。重要なのは「パスした問題にさかのぼれないこと」です。このルールにより、問題に正解する力だけでなく、正解できそうか判断する嗅覚も問われることになります早々にパスを重ねると、15問目を解き終えて時間が余るような事態も起こりえますので、タイムマネジメントも大事です。この形式も問題集で完全再現するのがやや難しく、予習したとはいえ、流れが大きく影響すると思います。

抽選によって対戦相手と試合順が決まりました。他の試合は、先ほどと同様に集中力を消費しない程度に眺めながら「11点は強い、10点で五分五分、9点以下はやや厳しい」と相場を値踏みしていました。

そして自分の出番が来ました。対戦相手は僕と同じで初参加だというおめさん。もちろん、まったく未知の相手です。インタビューはクイズでもよくやるので適当に回答し、いざ開始。後は夢中でした。途中から正解数をカウントする余裕もなく、古川さんの実況もほぼ耳に入らない状態でした。結果は9対10で勝利。うれしい!薄氷!

解神ラウンド1回戦のひとコマ。山下雄太さんと、参加者インタビューにご協力いただいた「おめ」さんの対戦。出題されている謎がWeb未公開のため、スクリーン部分を加工しております。

・解神2回戦以降

2回戦の対戦相手はすいとんさん。前々回の準優勝者で、今回も招待選手入りと、安定した実力者です。厳しい相手ですが、ここまで「解神」の対戦を見てきて、ツモ運や流れの要素で何とかなる可能性もあると考えていました。

始まってみるとまったく解けず。正直、かなり焦りました。ツモ運も流れも、ともに悪い方に向いているように感じ、せめてベスト4として笑われない点数には達してくれ……と祈るような気持ちで解いていました。

結果は12-9で大敗。9点は辛うじて「許される点数」だと思いますが、後悔の念は禁じえませんでした。振り返るとベスト4で満足してしまい、気が緩んだ面は否めないのですが、どれだけ好調だったとしても、12点を取ってすいとんさんに並ぶという可能性はゼロに近かったのではないかと思います。

僕の出番はこれで終わりました。決勝戦でそのすいとんさんを10-12と2点差で下して優勝されたのは、さやちぃさんでした。ジャンプ漫画みたいな展開。今後、優勝を目指すのであれば(15問中)12点がひとつの目安になるのかと思うと、恐ろしい時代です。

・おわりに

今回初めて参加して、短時間で勝負が決まるスピード感と緊張感は、ライブならではのもので、会場が一体となってその熱気を共有することができました。たまたま今回の自分はプレイヤーとしてもある程度の見せ場を作れる結果にはなりましたが、「誰でも答えを聞けばわかる」という謎解きの性質は、多くの人にとっては「あと一歩で届きそう」という期待を生みます。おそらく、実際は紙一重の勝負になっているのでしょう。この点はクイズ界において『abc』が短文基本問題の市民権を急速に広げた現象に共通しているようにも思います。

普段、クイズに親しんでいる人にとって、謎解きは非常にとっつきやすい遊びだと思います。広い視点に立てば区別すら必要ない同一の遊びと言えるかもしれません。見えない壁を作って参加をためらっていた過去の僕のような人にも、一度は足を踏み入れてみてほしいですし、拙文がその後押しになれば幸いです。

最後になりますが、取材にご協力いただいた主催・スタッフの皆さまに御礼申し上げます。また、現場に同行し諸々ご調整くださったQuiz Doの戸屋利章さんには、プレイヤーとして必死な僕に代わって取材業務のほとんどを押し付ける形となってしまったことをお詫びしたいです。

そして読者の皆さま、お読みいただきありがとうございました。

山下さん、ありがとうございました!

【文責:山下雄太】

https://quiz-schedule.info/quizdo/wp-content/uploads/2018/05/IMG_20180407_211101-1024x576.jpghttps://quiz-schedule.info/quizdo/wp-content/uploads/2018/05/IMG_20180407_211101-150x150.jpgquizdo“やる”クイズリポートイベントリポート山下雄太さんによる、普段クイズをやっている参加者という立場からの『解神2018』参戦記、第2回です。 前回はこちら! ・修羅 「修羅」は、16人を2組に分けて行う「早押し謎解き」です。3問正解で「解神」トーナメント進出、誤答は即失格。各組2人ずつが勝ち抜けます。クイズ風に表現すると「3○1×(8→2)×2」です。僕は1組目からの参加でしたが、2回のサドンデスが発生してくれたおかげで早押し謎解きの戦い方について、ある程度の想像力をはたらかせることができました。 出題が始まりました(ここでも問題内容については触れません)。第1問を取ったのは僕でした。ここでようやく「自分でも勝負に参加できる」という実感を得ました。5問目まではすべて違うプレイヤーが正解し、平らな展開になりました。第6問を僕が取って最初にリーチをかけましたが、すぐに追いつかれ、9問目で六角定規さんが1抜け。「さすが初代『解神』…」という感想を抱けるのも、予習の成果です。 この時点でリーチは、僕と招待選手の山下さんの2人(名前がまぎらわしいですが「山下」と「山下雄太」がいます)。残り枠はひとつ。普段のクイズでもこの局面でどれくらい攻めるかは難しいところです。最初に1○取ったのも、最初に2○に達したのも僕で、僅差の押し負けも何問もあったので「ここで負けたら悔やんでも悔やみきれない……」とギアを上げることにしました。 第10問は少し知識の要素が含まれた問題で、僕はこれを正解でき、「解神」トーナメント進出を決めました。ベタ知識と早押しの両面で「クイズ慣れ」をアドバンテージにできたのだと思います。「解神」トーナメントに向けて、“謎解き脳”を維持しつつも、集中力を使いすぎないことを意識し、2組目の戦いは、あえて気楽に観戦していました。いつもクイズの場でお世話になっているノダシューさんがここで敗退されてしまい、クイズを主戦場にしている参加者の最後の生き残り(たぶん)として身が引き締まる思いでした。そして決勝ラウンド「解神」を戦う8人が出そろいました。 ・解神1回戦 決勝ラウンドの「解神」は8人によるトーナメントです。各試合は1対1で行われます。2人がステージ上で視線を一身に集めて激突する様子は、まるで格闘技イベントを連想させます。そういえばクイズ番組の『Knock Out』も、同じようなコンセプトで演出されているようにみえます。 試合形式は、15問を3分間で早解きし、正解問題数を競うものです。同時に取り組める問題は1問のみで、次の問題に進む場合はパスすることもできます。重要なのは「パスした問題にさかのぼれないこと」です。このルールにより、問題に正解する力だけでなく、正解できそうか判断する嗅覚も問われることになります。早々にパスを重ねると、15問目を解き終えて時間が余るような事態も起こりえますので、タイムマネジメントも大事です。この形式も問題集で完全再現するのがやや難しく、予習したとはいえ、流れが大きく影響すると思います。 抽選によって対戦相手と試合順が決まりました。他の試合は、先ほどと同様に集中力を消費しない程度に眺めながら「11点は強い、10点で五分五分、9点以下はやや厳しい」と相場を値踏みしていました。 そして自分の出番が来ました。対戦相手は僕と同じで初参加だというおめさん。もちろん、まったく未知の相手です。インタビューはクイズでもよくやるので適当に回答し、いざ開始。後は夢中でした。途中から正解数をカウントする余裕もなく、古川さんの実況もほぼ耳に入らない状態でした。結果は9対10で勝利。うれしい!薄氷! ・解神2回戦以降 2回戦の対戦相手はすいとんさん。前々回の準優勝者で、今回も招待選手入りと、安定した実力者です。厳しい相手ですが、ここまで「解神」の対戦を見てきて、ツモ運や流れの要素で何とかなる可能性もあると考えていました。 始まってみるとまったく解けず。正直、かなり焦りました。ツモ運も流れも、ともに悪い方に向いているように感じ、せめてベスト4として笑われない点数には達してくれ……と祈るような気持ちで解いていました。 結果は12-9で大敗。9点は辛うじて「許される点数」だと思いますが、後悔の念は禁じえませんでした。振り返るとベスト4で満足してしまい、気が緩んだ面は否めないのですが、どれだけ好調だったとしても、12点を取ってすいとんさんに並ぶという可能性はゼロに近かったのではないかと思います。 僕の出番はこれで終わりました。決勝戦でそのすいとんさんを10-12と2点差で下して優勝されたのは、さやちぃさんでした。ジャンプ漫画みたいな展開。今後、優勝を目指すのであれば(15問中)12点がひとつの目安になるのかと思うと、恐ろしい時代です。 ・おわりに 今回初めて参加して、短時間で勝負が決まるスピード感と緊張感は、ライブならではのもので、会場が一体となってその熱気を共有することができました。たまたま今回の自分はプレイヤーとしてもある程度の見せ場を作れる結果にはなりましたが、「誰でも答えを聞けばわかる」という謎解きの性質は、多くの人にとっては「あと一歩で届きそう」という期待を生みます。おそらく、実際は紙一重の勝負になっているのでしょう。この点はクイズ界において『abc』が短文基本問題の市民権を急速に広げた現象に共通しているようにも思います。 普段、クイズに親しんでいる人にとって、謎解きは非常にとっつきやすい遊びだと思います。広い視点に立てば区別すら必要ない同一の遊びと言えるかもしれません。見えない壁を作って参加をためらっていた過去の僕のような人にも、一度は足を踏み入れてみてほしいですし、拙文がその後押しになれば幸いです。 最後になりますが、取材にご協力いただいた主催・スタッフの皆さまに御礼申し上げます。また、現場に同行し諸々ご調整くださったQuiz Doの戸屋利章さんには、プレイヤーとして必死な僕に代わって取材業務のほとんどを押し付ける形となってしまったことをお詫びしたいです。 そして読者の皆さま、お読みいただきありがとうございました。 山下さん、ありがとうございました! 【文責:山下雄太】クイズに興味を持った方・初心者の方からベテランまで! ”やる”クイズ支援サイト