「地域限定の最強位・新人王決定戦」第2回は、『クイズ山梨最強決定戦/新人戦』の主催者、廣瀬哲(ひろせ・あきら)さんに話を伺いました。

廣瀬さん。『頭脳王』での「推測の貴公子」としてもおなじみ。

――まず、取材に応じて頂ける方ご自身についてお伺いします。もともとクイズに興味を持ったきっかけってどんなところだったんですか?

小さいころから、図鑑や本で新しい物事に触れるのが好きでした。同じような動機でクイズ番組も良く見ていましたが、本格的に興味を持ったのは『高校生クイズ』を観た中学1年生のときでした。後に全国大会にも運よく進出できたのですが、「競技クイズ」の存在はそのときに全国各地の皆さんから教えてもらいました。このときのこの体験は本当に貴重なものだったと思います。

――では、この地域に入るきっかけは何だったんですか?

親が山梨県出身で、自分もそのまま山梨で育ちました。

――今大会開催のきっかけは、どんな経緯でしたか?

地方の/新興のクイズ研究会が参加できる「大きめのクイズの場」が不足している状況を解消したかったからです。自分の経験を言えば、隣県とはいえ遠征は大変でしたし、そういって大会に出られないうちに熱を失ってしまった後輩も少なくありませんでした。「腕を振るったり交流したりする場に出られなかったら、そりゃつまらないよな」と納得せざるを得ない状況ではありましたが、個人的に寂しかったです。高校時代からそういう事情に悶々としていたので、「大会が開けるような能力が身に着いたら地元で開催しよう」とはずっと思っていました。
第1回(2014年5月)開催を実行に移したきっかけはうろ覚えですが、母校の高校1年生世代(2013年度当時)がやる気に燃えていたのを見て、「そういう大会の存在はやっぱり求められてるんだ」と確信、というか安心したことがあったのは覚えています当時の自分も大2~大3とちょうどいい時期だったので、あとは半分勢いで開くことにしました。もうひとつ、地方で外部の人間(OBや在住の社会人など)が大会を開催することには、「その地方を引っ張る現役学生へお礼をする」という意義も含まれるのかなと思っています。部長・会長格や経験者たちはやる気や実力が抜き出ているだけに、「よく例会を主催するけど自分は出られない」ということもありますからね。第2回(2017年)のときは、今回こそは参加側として出てほしい後輩の顔が浮かびました。

――「参加資格のないフルオープン」ではなく、「地域限定のクイズイベント」にしようと思ったのはなぜですか?

出発点は「山梨の高校生に目一杯クイズをさせる」ことだったので、地域で縛ること/学生限定とすることはほぼ大前提でしたとはいえ、競技人口が少ない山梨県内だけで「大会の空気」を形作るのは難しいと考え、交流の機会にもなればと思い「長野県」「静岡県」「OB/OG」まで枠を広げました。

優勝を決めた瞬間の幡野さん(首都大学東京)、思わず手を叩く準優勝の石原さん(大阪大学)。ともに山梨県出身。

――参加資格(どこで制限するか)について、主催者の方が「特にこだわっている点」「ここは難しいと思った点」がありましたら教えてください。

第1回(2014年)の際は、高校同期の「でも強い人のクイズを見ないと学べないでしょ」という提言をもとに、「実力による縛りはなし」「むしろエントリー枠が余ったら地域外からの参加も可」としました。一方、第2回(2017年)は、初心者~中級者に狙いを絞った体験会的側面を強め、「ペーパークイズ通過経験」による実力制限を設けました。1回目と2回目で「こだわり」が変化しており、それぞれに合わせて参加資格を変えています。3年前は山梨・長野・静岡出身の「成熟した強さを持つ学生プレーヤー」が今ほどいなかったので、制限がなくとも一応バランスは保てていたというのもあります。逆に今となっては、そういった強豪の出現に加えて学生クイズ界全体のレベルが上がり、制限を設けても十分レベルの高い試合が見られるほどになっています。第2回の様子を見る限りでは、今後は変更を加えなくても良さそうだと考えています。

――参加者を集める上では、どんなことをされていますか? また、「こんなことをしたら手ごたえがあった」「こんな点が難しい」ということがありましたら教えてください。

あまり「ご意見番」的な立ち位置になろうとしたり、過干渉したりするのは好ましくないと思っているので、「一心精進の告知とSNS更新だけ」で自然にエントリーが集まってくれるのが理想ですが……Twitter経由で、参加資格がある高校・大学のクイズ研究会には告知をさせていただきました。前述の理想とのさじ加減が難しいですね。
なお、結局静岡の関係者が発見できなかったのは力不足でした(このたび静岡大学クイズ研究会さんが発足なさったようで嬉しいです)。今回、信州大学さんが設立間もない長野高校クイズ研究会さんに連絡を取ってくださったらしく、とても感謝しています。高校・大学の垣根を越えて地域内で連携できる体制が続けば、こういうイベント運営の負担は減っていくと思います。

――参加者のレベルの差は、通常のクイズイベントに比べても大きいと思いますが、いろんな人が楽しめるために工夫していることはありますか?

このようなイベントは「全員が早押しクイズにも参加できること」が基本であり、ウリになると思います。この大会も、まずその部分は守りました。加えて第2回からは「2R-1で負けても2R-2、2R-3がある」方式とし、参加機会を増やしました。また、『神奈川高校生最強/NH決定戦』の形態を参考に、小規模ですが『新人戦』を併催しました
もうひとつ、同じ大会に「優勝/上位進出を狙う人」と「1問の正解を喜ぶ人」が同居するので、問題にもできる限り気を遣いました。「スルーになってもテンポが悪くならない短さ」「だいぶやさしい(※競技クイズ的に)」という点は守れたと思います。

――最後に。来年以降のご予定についてお聞かせください。

博士課程進学後の自分がどうなっていくか何もわからず、当面は未定です。自分で開催するかもしれませんし、誰かが「第3回をやりたい!」と手を挙げてくれるかもしれません。後者のときは、自分にできるだけのサポートをしたいと思います。

ありがとうございました!
最終回は、長野で最強位・新人王を主催している方にお話をお伺い……するというか、なんというか……。

【文責:神野芳治】

https://quiz-schedule.info/quizdo/wp-content/uploads/2017/12/DSC_0399-1024x576.jpghttps://quiz-schedule.info/quizdo/wp-content/uploads/2017/12/DSC_0399-150x150.jpgquizdo“やる”クイズリポートイベントリポート「地域限定の最強位・新人王決定戦」第2回は、『クイズ山梨最強決定戦/新人戦』の主催者、廣瀬哲(ひろせ・あきら)さんに話を伺いました。 ――まず、取材に応じて頂ける方ご自身についてお伺いします。もともとクイズに興味を持ったきっかけってどんなところだったんですか? 小さいころから、図鑑や本で新しい物事に触れるのが好きでした。同じような動機でクイズ番組も良く見ていましたが、本格的に興味を持ったのは『高校生クイズ』を観た中学1年生のときでした。後に全国大会にも運よく進出できたのですが、「競技クイズ」の存在はそのときに全国各地の皆さんから教えてもらいました。このときのこの体験は本当に貴重なものだったと思います。 ――では、この地域に入るきっかけは何だったんですか? 親が山梨県出身で、自分もそのまま山梨で育ちました。 ――今大会開催のきっかけは、どんな経緯でしたか? 地方の/新興のクイズ研究会が参加できる「大きめのクイズの場」が不足している状況を解消したかったからです。自分の経験を言えば、隣県とはいえ遠征は大変でしたし、そういって大会に出られないうちに熱を失ってしまった後輩も少なくありませんでした。「腕を振るったり交流したりする場に出られなかったら、そりゃつまらないよな」と納得せざるを得ない状況ではありましたが、個人的に寂しかったです。高校時代からそういう事情に悶々としていたので、「大会が開けるような能力が身に着いたら地元で開催しよう」とはずっと思っていました。 第1回(2014年5月)開催を実行に移したきっかけはうろ覚えですが、母校の高校1年生世代(2013年度当時)がやる気に燃えていたのを見て、「そういう大会の存在はやっぱり求められてるんだ」と確信、というか安心したことがあったのは覚えています。当時の自分も大2~大3とちょうどいい時期だったので、あとは半分勢いで開くことにしました。もうひとつ、地方で外部の人間(OBや在住の社会人など)が大会を開催することには、「その地方を引っ張る現役学生へお礼をする」という意義も含まれるのかなと思っています。部長・会長格や経験者たちはやる気や実力が抜き出ているだけに、「よく例会を主催するけど自分は出られない」ということもありますからね。第2回(2017年)のときは、今回こそは参加側として出てほしい後輩の顔が浮かびました。 ――「参加資格のないフルオープン」ではなく、「地域限定のクイズイベント」にしようと思ったのはなぜですか? 出発点は「山梨の高校生に目一杯クイズをさせる」ことだったので、地域で縛ること/学生限定とすることはほぼ大前提でした。とはいえ、競技人口が少ない山梨県内だけで「大会の空気」を形作るのは難しいと考え、交流の機会にもなればと思い「長野県」「静岡県」「OB/OG」まで枠を広げました。 ――参加資格(どこで制限するか)について、主催者の方が「特にこだわっている点」「ここは難しいと思った点」がありましたら教えてください。 第1回(2014年)の際は、高校同期の「でも強い人のクイズを見ないと学べないでしょ」という提言をもとに、「実力による縛りはなし」「むしろエントリー枠が余ったら地域外からの参加も可」としました。一方、第2回(2017年)は、初心者~中級者に狙いを絞った体験会的側面を強め、「ペーパークイズ通過経験」による実力制限を設けました。1回目と2回目で「こだわり」が変化しており、それぞれに合わせて参加資格を変えています。3年前は山梨・長野・静岡出身の「成熟した強さを持つ学生プレーヤー」が今ほどいなかったので、制限がなくとも一応バランスは保てていたというのもあります。逆に今となっては、そういった強豪の出現に加えて学生クイズ界全体のレベルが上がり、制限を設けても十分レベルの高い試合が見られるほどになっています。第2回の様子を見る限りでは、今後は変更を加えなくても良さそうだと考えています。 ――参加者を集める上では、どんなことをされていますか? また、「こんなことをしたら手ごたえがあった」「こんな点が難しい」ということがありましたら教えてください。 あまり「ご意見番」的な立ち位置になろうとしたり、過干渉したりするのは好ましくないと思っているので、「一心精進の告知とSNS更新だけ」で自然にエントリーが集まってくれるのが理想ですが……Twitter経由で、参加資格がある高校・大学のクイズ研究会には告知をさせていただきました。前述の理想とのさじ加減が難しいですね。 なお、結局静岡の関係者が発見できなかったのは力不足でした(このたび静岡大学クイズ研究会さんが発足なさったようで嬉しいです)。今回、信州大学さんが設立間もない長野高校クイズ研究会さんに連絡を取ってくださったらしく、とても感謝しています。高校・大学の垣根を越えて地域内で連携できる体制が続けば、こういうイベント運営の負担は減っていくと思います。 ――参加者のレベルの差は、通常のクイズイベントに比べても大きいと思いますが、いろんな人が楽しめるために工夫していることはありますか? このようなイベントは「全員が早押しクイズにも参加できること」が基本であり、ウリになると思います。この大会も、まずその部分は守りました。加えて第2回からは「2R-1で負けても2R-2、2R-3がある」方式とし、参加機会を増やしました。また、『神奈川高校生最強/NH決定戦』の形態を参考に、小規模ですが『新人戦』を併催しました。 もうひとつ、同じ大会に「優勝/上位進出を狙う人」と「1問の正解を喜ぶ人」が同居するので、問題にもできる限り気を遣いました。「スルーになってもテンポが悪くならない短さ」「だいぶやさしい(※競技クイズ的に)」という点は守れたと思います。 ――最後に。来年以降のご予定についてお聞かせください。 博士課程進学後の自分がどうなっていくか何もわからず、当面は未定です。自分で開催するかもしれませんし、誰かが「第3回をやりたい!」と手を挙げてくれるかもしれません。後者のときは、自分にできるだけのサポートをしたいと思います。 ありがとうございました! 最終回は、長野で最強位・新人王を主催している方にお話をお伺い……するというか、なんというか……。 【文責:神野芳治】クイズに興味を持った方・初心者の方からベテランまで! ”やる”クイズ支援サイト